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初級転職者講座【商社編】その4 モデル契約書を作成する

初級転職者講座【商社編】その4 モデル契約書を作成する

本講座のその1~その3にて、情報を全て文書にすること、輸出契約を前提に、欲しい契約をイメージすること、更に、当該契約のチェックポイント等を述べてきました。 これで契約の大筋は理解できたと思います。次に、皆さんの会社で、今一番売りたい商品であって、かつ、常時在庫のあるものを想定し、この条件ならいつでも販売したいと考える契約書(以下、モデル契約書)の作成しておくべきです(注1)。 モデル契約書に既に記載してある各項目を、下記の資料(対比表)のごとく、輸出者(売り主)の欄に書き移しました。一方、輸入者(買い主)とのメールのやり取り等により、輸入者の欲する価格、ブランド等が判明してきますので、対比表の輸入者(買い主)の欄にそれらを記入していきます。そして、備考欄には、両者の値差を始めとして、各項目の交渉の際の注意事項、(一人で全項目を交渉することが難しい場合は)交渉担当者、更には、交渉の順番等を記入していくと良いでしょう。 このように、対比表にすることによって、交渉全体を客観的に眺め、交渉戦略を立てることが大切です。次回はこの点について、触れてみたいと思います。 注1:モデル契約書はこちらを参照してください。 http://www.bouekitenbou.com/2286532004263601239812469125311250312523.html このモデル契約書は表面約款と裏面約款から構成されています。和訳も付してありますので、参考にしてください。 注2:ホワイト国向けの場合は、輸出規制はありませんが、輸出貿易管理令別表4の国或いは別表3の2の国の場合は厳しい規制が課せられています。「ホワイト国」、「別表4の国」、「別表3の2の国」の詳細は、安全保障貿易管理のホームページ(http://www.meti.go.jp/policy/anpo/)に入り、それぞれキーワードのサイト内検索されると判ります。


初級転職者講座【商社編】その3 輸出を考える

初級転職者講座【商社編】その3 輸出を考える

その2で申し上げた如く、皆さんの契約書のイメージは段々と固まってきたものと思います。一方、皆さんが商社に転職して、まず、求められることは、輸出市場の開拓といえるでしょう。具体的には、どうやって、皆さんの望む契約条件を獲得していくか・・にかかってきましょう。そこで、以下留意点をまとめてみました。なお、話を判り易くするために、貨物の輸出に絞って、話を進めます。 1.買い主をチェックする 皆さんは、既に輸入者(買い主)とメールのやり取りを開始したと仮定しましょう。そうなると、輸入者がどんな会社か調べることになります。まずは、輸入者の英文名にて、Yahoo或いはGoogleで検索してみると、何か情報にヒットするかもしれません。更に、契約の成立がかなりの程度で、予想される段階に来たら、DUN & BRADSTREET等の信用調査会社で信用調書の取得を考えるべきでしょう。 更に、外為法の観点からしますと、輸入者或いは最終需要者の名前が外国ユーザーリストに掲載されていないかどうかをチェックし、掲載されていたら、一定の条件下で輸出許可を申請せねばなりません。なお、同リストは末尾に記載の安全保障貿易管理のホームページで検索するとヒットします。 2.貨物をチェックする 貨物の場合は、外為法の規制を受けます。より正確にいえば、関税法基本通達70-1-1に輸出貨物の他法令が規定されており、その一つが外為法ということです。なお、他法令とは、関税三法(関税法、関税法定率法、関税法暫定措置法)以外の法律であって、輸出者は通関時に税関に対して、許可等を受けている旨、証明しなければならないとされています。そして、外為法の下で、政令である輸出貿易管理令に貨物名が規定され、その下の貨物等省令で当該貨物の仕様が定められていることになります。これらに該当した場合は、原則として輸出許可申請が必要です。 3.仕向先国をチェックする 仕向先国が輸出貿易管理令の別表第3の2の国(国連武器禁輸国・地域:アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、エリトリア、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア及びスーダン)向けの場合は包括許可が適用できず、又、輸出貿易管理令の別表第4の国(懸念3ヵ国:イラン、イラク、北朝鮮)向けの場合は、包括許可及び少額特例が適用できませんので、これらの国々に該当しないかどうかチェックしていってください。   4.政府許可条件の挿入 安全保障に限りませんが、政府許可が必要な貨物の場合には、必ず、“..subject to an export license obtained by Seller from the Japanese Government.”という主旨の文言を挿入してください。さもないと、政府許可が万一取得できなかった場合、買い主から損害賠償責任を追及される恐れが出てくるからです。 参考: 1)判り辛い用語は、安全保障貿易管理のホームページ(http://www.meti.go.jp/policy/anpo/) に入り、キーワード検索してみてください。 2)技術も規制の対象ですが、本稿では省略しました。

初級転職者講座【商社編】その2 文書に始まり文書に終わる(2)

初級転職者講座【商社編】その2 文書に始まり文書に終わる(2)

その1にて、「文書に始まり」とは、まず、あらゆる記録を文書にすること、又、契約当事者間の力関係が五分五分であれば、有利不利はさておいて、少なくとも納得のいく契約条件が得られやすいこと等を申し述べました。では、次に「文書に終わる」に移りますが、商社活動の目的は、契約の締結にあることは言う迄もありません。では、どうこの目的を達成していくかが次の課題となります。 1.どんな契約が欲しいのか この点は、常に皆様の頭の中にあると思いますが、では、どういう条文にしたら良いかとなると、戸惑われるでしょう。何か参考になるものはないかということで、以下、三つ程、アドバイスを差し上げます。 1)展示会で収集する まず、展示会の出展者のブースには契約書のサンプルがある筈です。そこで、それを一部貰えないかと聞いてみてください。出展者は基本的に買い主を捜していますので、余程のことがない限り貰えると思います。そして、その場で目を通し、気が付いたことがあれば、質問してみましょう。懇切丁寧に説明してくれる筈です。 私もこのようにして勉強してきました。なるほどこうやって自社のインタレストを擁護しているかと納得できました。 2)業界のモデル契約書式 古くからある貨物の業界団体であれば、当該業界の事務局の書棚或いは付属の図書室等に業界のモデル契約書式がある場合がありますので、事務局に聞いてみてください。あった場合には、それを入手し使えるものであれば使っていくことをお勧め致します。このモデル書式の背景には、それなりの経緯や理由、場合によっては判例が存在するかもしれません。モデル書式を使えば、それらをこちらの味方に付けることが可能だからです。 3)雛形を基に自分で作成する 市販の書籍には、有り余るほどの契約条文例があります。手前味噌になりますが、私のホームページに輸出と輸入に分けて英文に和訳を添えて、雛形が提示してあります。更に、私の著書「輸出のすすめ方」と「輸入のすすめ方」(いずれも、ジェトロ発行)にも雛形と解説が載せてありますので、ご参照ください。 私は輸出者と輸入者では利害が全く反すると考えていますので、上述のごとく、書き分けてみました。書籍によっては、どちらの立場で契約書を作成しているのかが明白でなく、単にきれいな条文が示されているだけの場合があります。その場合は、それに振り回されることなく、ご自身の主張が入っているか、或いは、主張を入れられるかを念頭に置いて検討していって戴きたいと思います。 2.契約書のイメージ 以上で、契約書のイメージは固まりましたか?それでは、それを買い主(売り主)と交渉して、どうやってご自分の欲する条件を手に入れていくか、次回、お話しすることにしましょう。では、又。 貿易アドバイザー&安全保障貿易管理士 永野靖夫

初級転職者講座【商社編】その1 文書に始まり文書に終わる(1)

初級転職者講座【商社編】その1 文書に始まり文書に終わる(1)

 商社の機能は、当事者間での話合いにより、どう案件をまとめて契約に結びつけていくかにあると、前回申し上げました。その第一歩は話合いの経緯を文書で、正確に漏れなく記録することから始まります。例えば、会議であれば、当然議事録が残るでしょうが、空港や新幹線内で雑談、更には、一寸した電話(以下、雑談等)は、放っておけば忘れ去られてしまいます。しかし、雑談等に契約締結に不可欠な話が紛れ込んでくることはしょっちゅうです。 1. まずは、文書に落とし込む これは雑談等の場合、通常相手は一人ですので、思わず本音が出たり、或いは、意図的にこのようにしたり、更には、様々な事情より、このような形を取らざるを得なかったりするケースが考えられます。このうち、どのケースに該当するのかを推測していく上で、まずは、文書に落とし込むことが必要です。 これらを時系列で並べ、もう一度読み直してみてください。必ずや何か気が付かれることがあると思います。そして、それをベースにそれ以降の交渉戦略を組み立てていくことになります。このようにして、取引相手とコミュニケーションが取れてきますと、情報量も急激に増えてきます。そこで、増えてきた情報をどう整理していくかが次の問題となってきます。 2. 情報量の増加  話を少し前に戻しましょう。皆さんはどんな契約を締結しようとされているのでしょうか。まずこの点を整理してみてください。全てが皆様の思い通りに行くのであれば、それは一見よさそうに見えますが、それはかえって危険です。理想の契約(この場合、長期契約を想定)はどうあるべきでしょうか。私は非常に漠然とした言い方ですが、双方の事情をそれぞれ熟知していて、力関係も五分五分な状態で交渉を開始し締結された契約が、最も風雪に耐え得る契約だと確信しております。何故なら、力関係も五分五分ならば、腹蔵なく意見交換できるでしょうから、有利不利は別として両者が納得のいく契約条件を得られるだろうと思うからです。   SO MUCH FOR TODAY・・ということにしておきましょう。 次回はどう情報を整理し、納得のいく契約条件を獲得していくかを述べていくことに致します。 貿易アドバイザー&安全保障貿易管理士 永野靖夫

初級転職者講座【商社編】はじめに

初級転職者講座【商社編】はじめに

 前回、「商社を目指される皆様へ」と題して、拙文を掲載させて戴きました。これは私の経験をベースに述べたものでしたが、若干SPECIFICであったかと思います。一方、もう少し一般的に、かつ、幅広く書いてみたらどうか?といったアドバイスもあり、今回、初級転職者講座と題して、10回程度に分けて、書いてみたいと思っております。 私自身、何回か転職しておりますので、その時の経験から話を始めることにしましょう。 1. 売れる履歴書  かなり前の話ですが、私は勤めていた会社を辞め、初めて職を探しにヘッドハンターの事務所を訪れたことがあります。そして、私の履歴書を担当のヘッドハンターに提示したところ、彼は開口一番、「とても売れる履歴書ではありませんね、そして、もう辞表を出してしまったのですか。」といわれました。  彼からは、 1)私の履歴は何を目指しているのかさっぱり判らない。CAREER DEVELOPMENT(以下、CD)が、全く意識されていない。従って、ヘッドハンターが売れる履歴ではない。 2)次の就職先を決めないで、辞表を出すとは・・ 路頭に迷いますよ。  ・・といわれました。  確かに、ヘッドハンターの立場からすれば、至極ご尤もな意見ですが、私からすれば、CDを意識して会社勤めをしてきた訳ではありませんし、私の人生観や性格もあります。今さらそういわれても、どうしようもないな・・というのが私の率直な感じでした。結局、このヘッドハンターとは物別れに終りました。 2. 転職に初めて臨むには・・  さて、くだんのヘッドハンターのいうがごとく、最初から意識して売れるCDを構築されている方も当然おられるでしょうが、そういう方ばかりではないでしょう。即ち、私のごとく、転職に初めて臨む人間が、上記の1)及び2)のごとき局面に直面した時、どうしたら良いかということもあろうかと思います。2)は判っていれば、対処可能でしょうが、1)については、これからどうしていくかということで、考えていく以外にありません。  翻って、商社はモノを作る訳ではありません。その機能はどう当事者間で話をまとめていくかに掛ってくると考えます。そこで、この点について、劈頭で申し上げた如く、貿易を前提として、10回程度お話ししたいと思っています。といっても、大向こうを唸らせるようなことは申せませんが・・。 では、次号でお会いしましょう。 貿易アドバイザー&安全保障貿易管理士 永野靖夫



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